ざつぶん

今は生きるのに必要最低限の事しか行えない。
そこに娯楽は無く、横道に逸れる余裕が無い。
以前は楽しいと思えていた事。それが、何時から重荷へ感じるようになったのか。
そして気が付いた時には、自分の力がその重荷に耐えられなくなるほど弱くなっていた。


歩けないのならば、重荷は外せば良い。
だけれども、ここまでやってきてリタイアするのは自分のプライドが許さない。
自尊心が己の行く道を遮るのは、それこそ本末転倒なのだろう。
プライドは行き過ぎると奢りになり、そういう姿勢になると、何も受け入れなくなってしまう。
自らの望んだ世界のみ、道筋のみが生きる世界だと勘違いしてしまう。


がむしゃらに取り組んでいた時が懐かしい。
否、懐かしいのではなく、その記憶は疎ましいものだ。
何しろ、当時は何も考えなく突っ走っていたから。
今という時分にここまで苦しみを与えているのは、勝手気ままに、無計画に遁走していたから。


では、今はどうなのか。苦しみに悶えて終わりなのか。
このまま惰眠を貪り、怠けの泥沼にその身を委ねる事が果たして良い道だと思うのか。
断じて否。それは絶対にいけない事。
だがしかし、人は安楽に流されるのが常であり、それを律せない自分自身に否がある。


このまま潰れてしまうのか。
はたまた重荷すら自らの昇華させゆくエネルギーへと転換させてしまうのか。
見えざる分岐点は、今まさにこの瞬間に――。