第6回SRC学園シナリオコンペ

夜勤明けでやっちゃいました。
僕も限界突破しちゃったよ!
……と、冗談はさておき。
過去のシナリオコンペとも引けを取らぬ、いや。
ひょっとしたら過去最大級のシナリオ群やも知れません。
1ヶ月で50kb以上ものシナリオが書ける人は羨ましいですのう。


『STAND BY』 マイヤーさん
比嘉光吉の熱い修行ドラマ。
というか、人形劇が細かい。物語もさる事ながら、こういう所にも手を加えれる人は単純に凄いと思うのです。
超える事に意味を見出す、という感じかな。
「見通せなどしない。だが、歩いた分だけは知れる事を」とか、光吉っぽい(のだろうか)台詞回しが印象的でした。
この物語は、光吉の達観が眼目かなー、と。
その他にも、アルバートや瀬田さんの渋い台詞回しがあって、さすがマイヤーさんだなぁと思わせる所がちらほらと。
旧学校のギミックは、全て「計都」さんの仕業だった、と思えばいいのかな。
「私がやった」という感じの描写はなかったけれども。
いや、光吉と計都の会話は、敢えて答えを言わないようにしていたのかも知れないですね。
その辺りが受け入れられるか否かで、評価が分かれそうな気がします。
僕は面白かったっすよー。


『途』 ベニヤ板さん
男が一つの道を歩く物語。
3つの道のうち一つを選び、進んでいく。
最初は右の道からー。
とても詩的な印象を受けました。簡潔で平易な言葉のみで物語が進むからでしょうか。
そして、もっとも憎むべき人間を倒したと思ったら、何というバッドエンドが。
あぁ、これは3つの道全てクリアしないとダメなのかー。
次に真ん中の道ー。
橋を渡ろうの巻で、橋を渡ったら刺殺されました。あれー?
題名の通りに行ったらクリアできました。あぁ、そういう事ね。
そして最後まで行って、悲しいエンディング。
最後の左の道ー。……ダークだ。何だこれは。
そして最終ステージの敵を見て、オチが判ってしまいました。
しかし。これ、全然救いが無いじゃないかっ!


『失恋戦隊業恋者』 匿名さんAさん
何ですかこのレトロな雰囲気はっ。
そして! SRCでアクションゲームって!!! 連邦のモビルスーツは化け物かっ!!
……取り乱してしまいました。
アクション系ゲームは大の苦手なので、クリアするまでに30分くらい掛かりました。ちくせう。
業レッドの恋者抜け出し物語ってな感じでOKでしょうか。
しかも、終わりも綺麗に締めてくれました。レッド熱い。
何箇所かウインドウから文字がはみ出ていたのが気になったかなぁ。


『OVER THE LIMIT』 シャアペンさん
兄超えをいつか! 九条有里さんのお話。
なかなか勝てない兄に、何度もぶつかってはコテンパンにされる有里さん。
純粋に高みを目指す姿勢はとても美しい。……いや、決してシャワーシーンが恋しい訳では無いんですよ?
外で部活を行っていたら、いきなりアンデットが!
結構な数のアンデットを倒したら、ボスが出てきました。
EN消費を極力少なくして戦っていたので、こちらのENは殆ど消費しておらず。
しかし、ランカルとの戦いも合わせて4連戦って! ザコとの戦いは全てこの為のモノだったのか!!
究極の状況に陥って、有里さん限界突破。
それに合わせて兄さんも動けるようになる。アンタワザとやられてたのか!?
有里の奮起が、みんなに勇気と活力を与える! そして気力も限界突破の300! 熱すぎだ!
ある意味、純粋に限界突破を描いた作品。リミットを振り切れ!
確かに、未熟な有里にスポットを当てている時点で、話の大筋は最初から読めてしまう形である事は否めません。
しかし、キャラクターの配役に関しては、なかなか上手く嵌っている感じがしました。
あとはキャラに持論を語らせずに、そのキャラの言葉で語らせる事かなぁ。その辺は僕も直さなきゃならん所ですが。


重箱の隅を突付く様になっちゃいますが、他の方との人形劇と比べると、テンポが悪いなぁと。
特に道場での打ち込みのシーン。竹刀を幾度も出すので、それを省けば随分テンポ良くなると感じました。


『幕間劇』 匿名さんBさん
デフォルト音楽がー。
場面描写もなく、ただ少女の心理描写だけで進む、ある意味特殊なシナリオ。
だがしかし、一人の人間の限界をこうまで描き切ったのは素晴らしいと思います。
彼女に焦点を当てた描写は、プレイヤーの心を揺さぶるに違いありません。
この作品の続きを頼みます、切にっ!


『騎士としての在り方』 回天さん
新米騎士、内藤高志くんのお話。
限界を省みず色々やろうとする高志に対して、騎士総代は。
「自分では出来ないと判っているに、無理に背負い込んで、それで失敗でもしたら、元も子もないだろう?」と。
この言葉に心が乱れる高志くん。
台詞回しは、丁寧でとても好感の持てるものです。見習いたいですのう。
限界を感じ、自身を大事にする事。それが自らを高める事になる、というのは、面白い視点ですね。


しかし、敦史さんだけでもアイアンゴーレムが倒せそうな感じがしたのは、気のせいなんだぜ。


『テメェら全員死刑!!』 パンさん
前回のシナリオと比べて、とってもアットホームでドタバタな物語。間違ってない、うん。
しかし! 僕らの猪田さんが! まさか……っ!
流星熟女同盟って、イヤだなぁ。
デタラメだーっ! って言いたいのはこっちの方ですよ! 
終始ドタバタ展開というか、プレイヤーを飽きさせないこのテンポの良さは、とてつもないですよ!
そして、最後まで突っ切って下さいましたー!!
あー、楽しかった。こんなに笑ったの久しぶりですよ、パンさんっ!


『[/]』 相原勇人さん
圧倒的な世界観。描写。構成。
何というか。
これほど美しく、激しい物語があるだろうか。
光世は、人間の存在を認めるのに、限界を設けない。たとえ、どのような人間であったとしても。
それが、他の人達に不幸をもたらすなんて。
ただ、光世は自分が存在するためにはそれが一番良いと思っていたのか。
それならば、一番不幸なのは光世であるような気がする。
それが、彼の唯一の生き方ならば。際限なく受け入れる事を是とするのならば。
線を引きたがる私達にとって、それは脅威の何者でもない。
存在は厳然とあるのに、心がないような気がして。
不安になった紫は、彼とのつながりを留めようとして、[/]を選んだのも判らないでもない。けど。
それは彼を否定する事にならないのか? 本当にそれは、彼を愛している故の行動だったのか?
はたまた、それが「正しい」と思ってやった行動だというのだろうか。
……う、ん。難しいです。人の心というのは奇妙奇天烈なものです。


とても完成度の高い作品でした。よくぞここまで描き切ったな、と。


『夢密室』 俳諧さん
推理パートと戦闘パートに分かれているようで。
私立探偵に西津志鶴さんのお話。ホテルで起こった密室殺人事件を解決するの巻!
容疑者に話を聞いて、推理をしていく話。
多分こうかなーと思って犯人当てたら、一応正解だったっぽいけど。
それでも何だかしっくりこない。周回プレイなので、また気が向いたらやろう。


『ANYONE』 浦瀬ヒガタさん
いきなり主人公選ぶ画面に。比較的ガードタイプを選ぶ。
一クルセイダー騎士が、清水良隆に反逆する!
……なんだってー!? 育成ゲームかよっ!!
色々試してみたら、レストランでエラーが。あらら。
一応、清水良隆を倒す所まではやってみた。
が、今度はザコステータスを参照しようと思ったらエラーが。
400kb以上になんなんとするeveですから、エラーが出るのは仕方ないけども。
それでも、これを1ヶ月で作るヒガタさんは素晴らしいですよ。


総評。
今回はレベルの高いものが多くあったように思えます。
ギミックあり、読ませる物語あり、と。
第一回からやらせて頂いていますが、過去最大級の出来じゃないでしょうか。
ですから! 皆さん1ヶ月でとんでもない物を作りすぎですよっ!!
今回のテーマは『限界』でしたが、
限界を「超えるべきもの」と捉えるのか、決して「超える事の出来ない壁」と捉えるのかで、
作品の色が変わってしまうものなんだなぁと感じました。
前者の最たるものは「OVER THE LIMIT」。
多少展開に強引さを感じますが、事後の描写も相まって、
限界を突破したという事が良く描けていたのではないでしょうか。
後者の最たるものは「『途』」。
過去の自分に囚われて、逃げ惑う事もせず、精神が朽ち果てていく様を上手く描けていました。
(ひょっとしたらハッピーエンドが残されているのかもしれませんが)
総合的な評価の高いシナリオは、「テメェら全員死刑!!」と「[/]」でしょうか。
どちらとも圧倒的な世界観を作り上げ、完成度としても素晴らしいものがありました。
……まぁ、作風は全く違いますが、それも良いコントラストになっていて、いい感じでした。
個人的に敢闘賞を送りたいのは、「幕間劇」ですね。
ああいう描写には弱い和光が悪いのですが、良い着眼点を持っていると思います。
惜しむらくは、SRC学園シナリオでなくても描けるような題材である事でしょうか。むーん。


何はともあれ、限界を突破したのは各ライターさんの方々ではないでしょうか。
この場を借りて、感謝申し上げます。そして、お疲れ様でした。
また、管理者のマイヤーさんもご苦労様でした。このようなシナリオ群に巡り合わせて下さって、有難うございます。