第4回SRC学園シナリオコンペ

1ヶ月でシナリオを作れる皆様方に、脱帽。乾杯。

『We can do It』 マイヤーさん
……素晴らしい! ブラボーっ!!
最後までプレイして、こういう気持ちにさせてくれるシナリオでした。
そして、らくがきに感動! ライトに感動っ!!
画面演出には不向きなSRCで、ここまでやるとは……!!
物語は――。
あの落書きから始まり、どうしてそれが描かれたのかを探り当てる為に、風紀委員の2人が立つ!
……というお話だったのですが、まさかまさかの大どんでん返し。
ああー、こういう終わり方は凄く好きです。
詩織と翔矢のコンビネーションも見ていて爽やかでしたし。プレイ後は清々しい風が吹き抜けたような感じがしました。
何気にアルバートが居たのにはちょいと吹きましたが。

『ラキガクルセイダー』 ベニヤ板さん
クルセイド騎士団の名も泣き兵士達、『コマドリ隊』のお話。
8文字以上入れたら怒られました。ちぇっ。(因みに『G・デルヴェッキオ』って入れました)
仕方ないので、『J・デ・ガズマン』と入れてみました。
街中を調査したり、詰所で修行したりするのは斬新だなーと思いました。
修行度:11、調査度:10で何とかクリア。
それはそうと、隊長と恋人になる方法があれば教えて欲しいとです。


『舘真理の密かなる事件簿』 浦瀬ヒガタさん
初見でやられました。
この懐かしき画面……! FCのアドベンチャーゲームみたいなその画面に驚愕。
ストーリーは大きく驚くものは無いけれども、独特な雰囲気が物語を形作っている感じがします。
僕は「〜〜に行こう!」と真理が言った後にもう一度その場を調べる性質なのですよ。
そこのフォローもきっちりしているのが凄く嬉しかったです。変態教師万歳。
あとは、言葉が平易なのも好印象でした。
通常の会話ウィンドウよりも表示出来る量が少ない分、文章が精練されているなと感じました。
画面演出もさる事ながら、そういった文章の書けるのは素晴らしいと思うのです。


『或る落書き』 俳諧さん
ここでも真理さんがっ!
前半は中立も混ざっての戦闘。ユリスさんカウンターでテレポート使うので、隠れ身・ひらめきでそれを防ぐ事に。
というか、不良視点に移行するとは思わなかった。
ユリスさんは攻撃を受けた場合30%で強制移動するので、それを狙って攻撃する事に。
そして――って、ええっ!? 何!? 何が起こったのさっ!?
着眼点は面白かったけど、文章の読みにくさと物語の構成が気になりました。
文章に関しては、まだ作り慣れていないのかな、という印象。
主語が欲しい時に無かったり、キャラじゃなくて物語を進めるために喋らせているとか。
何といっても最後のシーン。結局謎は解けずに終わってしまっていて、
プレイ後の感じはモヤモヤとしたものが残ってしまいました。
……あはは、僕も人の事言えたもんじゃないんですけどね。はい。
いや、正直着眼点は素晴らしいと思うのですよ。落書きは『  』であるとか。
それをもう少し掘り下げる事が出来れば、良い作品が出来たんじゃないかなーと。
何はともあれ、これからも頑張って下さいなー。


『樹海の奥の宝物』 狼二世さん

不味いは拙いかなーと。
「なんでもない一日や、ちょっと悲しくなる日も、嬉しくて泣きたくなる日も、あったでしょう」
「例えその場所を離れて、忘れたとしても、過ごした日々はなくならないんですから」
ああー、こういう感性は良いなぁと思います。
何気ない日常(?)なのですが、キャラクターが生き生きと動いているので、それで良いんだなぁと思います。
登場するキャラクターはみんな心が綺麗で、それを描ける作者氏素晴らしいな、と感じました。
最後の落書きなんかも、「関係ないよ、友達になろう!」という清い心から発せられたモノでしょうし。


『蛍』 シャアペンさん
倉永涼の過去話ー。
とりあえず、セピアでの戦闘は陣営色が判りづらいかなーと。
マクシウスの殺害描写は賛否が分かれそう。僕は許容範囲だけど、苦手な人はいるかもしれない。
戦闘にてー。マクシウス再生するのかっ!
そしてエネルギー切れた紫はやられてゲームオーバー。
……って、あれ? クイックロード出来ない? んむー、仕方ないのでもう一度初めからやり直しー。
SRC学園を知らない人にとっては、固有名詞などは全く判らないので、
それに対するフォローがあれば良かったと思いました。
それはそうと、「時間が経ったので今なら話す事は出来ます」という件は、何だかデジャヴュを感じる……。


『白谷みのりちゃんの冒険』 月神さん
「視聴できません」って。一体何が書かれていたんだろう。
ちょ――!? 超常現象だけで、どうして美術室に行き着くんだっ!
そして幽霊さん登場。普通幽霊であっても、自分の身のあり方には敏感になると思うんだ。
何気に参戦する白谷みのり。何だろう、この流れは……。
そしてオチ。このオチはある意味予想出来なかった。


SRCスペシャル』 エルバッキーさん
フキダシは珍しいなと思うのです。
今回のコンペの中ではドタバタコメディ系は少ないので、それが良いアクセントになってるかな。
チテイ人の橋を壊してしまったので、それを修復する――と思ったら邪魔者が。
これはこれでほのぼのするなぁ。
でも、もうちょっと話を続けてほしかったなぁと思うのは贅沢な注文かもしれない。


『世界ニ背イテ』 高野M明さん
あははははあははあははははああはあははははあはははあはははあははははは!!
全体の構成を通して作者氏の色がふんだんに取り入れられています。
俊逸なのは「複数視点」で物語が進む事。
一人ひとり、思考や視点が違うという事が良く判りますし、そうであらねばならないと思います。
例えば、八咫姫の笑い。彼女は「世界とはお先真っ暗だ」と、自嘲して笑っていたのに、
それを自分への嘲りとして捉えてしまった衛の心情。
……うわ、これは素晴らしい。
前回はその熱い展開でプレイヤーを楽しませていましたが、今回は世界観で楽しませていただきました。
一つの物語を複数の視点から捉えていくのは、観察力が研ぎ澄まされていないと出来ないと思うのです。
キャラクターになりきる事。そのキャラは何を考え、何を見て、どう行動するのか――。
正しくそれをやりきっているのがこのシナリオだと思います。
うん。とても1ヶ月で作ったとは思えないシナリオですよ(褒め言葉)。


― 総 評 ―
まずは、今回のシナリオコンペに参加された作者様に最大の感謝を。
第3回もかなりレベルが高かったのですが、今回もハイレベルなシナリオが多くありました。
甲乙をつけるのはあまり好きではないので、あえて「これが一番だ!」というのは言いません。
どの作品も作者自身の色が滲み出た作品だと思いますし、優劣は付けられません。
今回のテーマは「落書き」だったのですが、
これは作者氏自身が捉えている「落書き」の意味合いによって作風も違っていたので、とても面白かったです。
「過去」の落書きか、「今書かれた」落書きかによっても違いますし、
落書きに「好意」を込めるか「追悼」を込めるか「憎悪」を込めるかによっても、落書きの意味するものが違ってきます。
そう考えると、結構面白いテーマだったんじゃないかなーと思います。
何はともあれ、シナリオを作って下さった皆様、大変にお疲れ様でした。
とても楽しい時間を過ごさせて頂きましたよー。